資源循環社会に向けた 「中間処理の役割と課題」
中間処理が担うもっとも大きな役割は、廃棄物の容積を減容することです。国土の狭い日本では埋め立て施設(最終処分場)の能力や設置に限界があり、いかに廃棄物の量を減らすかが重要です。中間処理によってリサイクルできるものを選別し、焼却や破砕、脱水などを行うことで、廃棄物の容積を減らすことができ、現在、日本では中間処理を行うことによって産業廃棄物の約50%が再利用可能な資源として生まれ変わっています。
プラスチック資源循環促進法が2022年4月に施行され、廃棄物リサイクルは新たなステージが始まりましたがその実現には多くの課題があります。
容器包装関係では、スチール・アルミ缶(約93%)、ペットボトル(約86%)、段ボール(約97%)のリサイクル率が高い一方で、その他プラスチック容器包装は約66%、紙製容器・包装に至っては更に低いリサイクル率です。他方、廃プラ全体ではサーマルリサイクル(熱利用)が約62%となっています。
[さらなる資源循環に向けて]
環境省では「第5次循環型社会基本計画」(2024年5月閣議決定)を策定、「再資源化事業等高度化法」 (2024年6月)が成立しました。また、経済産業省では2023年3月に 「成長志向型の資源自律経済戦略」を発表、政策体系を動静脈連携を基本とするサーキュラーエコノミー型に刷新いくとしています。その中で、再生資源の供給強化策として、再生プラスチックの流通量の最大化や高品質化による循環市場の活性化、再生資源供給産業の育成を掲げています。中間処理は、再生資源の供給側として大きな役割を担っており、プラスチック資源の循環拡大のためには、PET以外の容器・包装そして製品プラスチックの供給拡大が求められています。
リサイクル率をさらに向上させるためには、処理業界の自助努力だけでは限界があり、生産者、消費者(排出者)、再資源化事業者、そして行政と社会全体での協調した取り組みが求められます。